いいこともある


やなことばっかりの外科実習。
それでも耐えられるのは外科好きのおかげ。


今日も色々ありました。



今日は患者さんのバルーンが抜ける日。
まずは検査があるのでご一緒に。
前立腺のオペの後は合併症として尿失禁があって、
この患者さんは失禁することを相当に恐れていて、
そんなこんなだから、
ただでさえ検査の時間に遅れているっていうのに、
一緒について行ってくれた看護師さんが
「パットしてますよね?管抜いた後は漏れることがあるから」
と言ったとたん、「オムツ持ってきた方がよかったですか?」
って足を止めちゃって、パット(ナプキンのでかい版みたいなの)
してるから大丈夫だと、看護師さんとふたりでいくら言っても、
歩くペースが遅くなり、不安げな顔。
やっとこさ検査室についてひと安心(私が)。
これはけっこう深刻ですね。
待っている間も検査のことやらその後のことやらその他のことやら
質問が大量に飛んできて、
もう・・・根岸で解かる範囲を完全に超えています。
南先生のキャリアとか、知ってるわけないから。


そして検査に呼ばれ、立ち上がった患者さん、
何度も振り返ってさっきまで座っていたイスを見ている。
漏れていないか心配なんでしょうかね?


まだ管抜いてませんから〜


気が早いっ!!


波多陽区風に突っ込んでみたり。




ま、そんなに気にするなよ
と患者さんの肩を心の中でポンッとたたいて、
そしてCT室へIN
放射線を使う検査なので普通はガラスの向こうから
見学するくらいしか出来ないのですが、
南先生が鉛入りエプロンを持ってきてくれたので
とても近くにいることが出来ました。
本当に優しい南先生。
ところがさ。
色々仕事頼まれたりして、
なんてったって


尋常じゃないほど不器用で、


信じられないほど使えない。


そんな根岸ですから、南先生も呆れ顔。


だけど私は南先生をすごくステキな先生だと思ってるから、
愛があるから、どんなに怒られても
(別にそんなに怒られてないですけど)
素直に受け止められるんですね。
けどなんだか顔を見れなくなってしまったのですよ。


病棟に戻れば回診があります。
部長回診以外は南先生が回診担当。
近づけば近づくほど、自分の出来なさを
露呈するだけのような気がして、



もう、何もしたくない・・・


憧れある南先生だけに、
これ以上先生の中の自分を下げたくないじゃないですか。


けど受け持ちの回診に入らないなんて、
あとでどー言い訳するですか?!
と、もうひとりの私が訴えるので参加せずにはいられません。
しかも今日はきっと抜鈎の日。
入らなかったらきっと、すーに殺される。


本当は全部ついて見たほうがいいらしいのですが、
少しでも南先生との関わりを減らすため、
今日も患者さんの回診だけに入りました。
そして直接介助の始まり。
消毒渡したり、ガーゼ渡したり、抜鈎器渡したり
南先生に迷惑をかけないように、
とにかく必死。
そしたら、1回南先生が
ありがとう
って言ったんですよ。
別に何の気なしに、さらっと言ったんでしょうけど、
それでもそんなささいなことが
とても心にしみるんですよね。
ちょっと泣くかと思ったくらい。


でもその必死さゆえに
患者さんの傷の状態を見てる余裕がなくて、
あとでまっちゃんに聞いてみたら、
「別に問題ないんじゃなぁい」
ってありがとよ。
まぁ必死に思い起こせば確かに感染徴候もないし
きれいだったと思うので、記録には良しと書いておきます。
やっぱり受け持ちさんのときは介助とかしないほうが
よ〜く観察できていいかもしれないですね。



来週は全麻のオペが2件あるとかで、
腰麻のオペしか見ていないあやのっちと
受け持ちさんのオペに入れなかったまっちゃんが
それぞれ入ることになったようで、
帰り間際に先生とお話していました。
私は関係ないのでぼけーっとして、
「何やってんだろうなー自分」って
そんなことを考えてみたりしていました。


本当に暗すぎる実習ですが、
最後にすれ違った南先生に
お疲れ様でした
って言われて、
別に何の気なしに、さらっと言ったんでしょうけど、
やっぱりそんなささいなことが
とても心にしみるんです。



帰りは、
「採血の練習するのぉ♡」って言ってる
ふたりを残してさっさと帰宅。
普段はほとんど話さないあやこ嬢と
色んな病棟に現われてはパソコンをいじっている
根室先生の話etc・・・で盛り上がって元気回復。



きっと、
いつもひとりなわけじゃないって思えるから、
実習中も立っていられるんだろうな。


電車の窓に映る自分を見つめて
そんなことを思いました。
ちょっとドラマチック・・・?