実習は戦いだ


今日もまた新入りさんの趣味トーク全開で
未だにイライラが治まらなくてまとまらない


朝は日誌を書いているのに
横からごちゃごちゃうるさいし
ボス技師さんに棚を1段洗うように頼まれてやり始めたら
洗い方も知らないのねぇ
お嬢様だなぁって
棚をひっくり返すのを手伝うとみせかけて
そのまま奪い取った


いいんですけど


いいんですけど


宙ぶらりんな私
日誌書きに戻っていいですか
もう勝手にやってくれよ


しかしそんな雰囲気でもない
細いタワシ持ってこいとか
日向に干して乾かしたいとか
そんな場所ないよ
自分の目で確かめて
ないのが分かって諦めたと思ったら
じゃあよく拭いといてって投げ出した
棚を手に廊下を歩く私謎の人



拭いてみれば汚れも泡も残ってるじゃないか
ご都合完璧主義者としてはこんなの許せないけど
また洗うのは感じ悪いし
がしがしと拭き取ってやった





それから
染色をするのにもいちいち
あれはどこ?
これはある?って
少しは自分で探せよと
聞いた方が早いとは分かっていても思ってしまう
空きビンを洗いながら
底の方の汚れが取れないときは
こうするといいんだよってビンの中に
キムワイプ(繊維のつかないティッシュみたいなの)を
得意気に突っ込んで振り出した
まぁたいてい私もそうしますよ
それでも取れないときは
割り箸にティッシュを挟んだり
ガラス棒を突っ込んで
ぐりぐりこするのも良いです
試行錯誤がすきなので
対策の引き出しはそこそこなつもりです



そのうち試薬をつくれとか言い出した
別にいいのだけれど
他の技師さんにも頼まれることあるし
でもこの技師さんに言われるとなんかいや
(゜o゜)!!
後光効果かも


最初は水を少しだけ入れて溶かしてねって
まぁ基本ですよね
本当に何もできないと思われてるんですね
たしかにたいしてできることないけれど
しかし染色のときに限らず
文句というか厭味の多いこと
あれもないの?
これもないの?を中心に
年季が入ってるとか
部屋が狭いとか
自分の働いていた病院はどうだったとか
別に私はここの人間じゃないけれどイラッとする
そりゃあ悪ぅござんしたねぇ
なんて
引き出しの多さをアピりたいのか
何かっていうと
こういうやり方たもあるんだよね、とか
自分のときはこういうのもちゃんとやってたんだよ、とか


それ20年前の話でしょ


心の中で毒づくのが
すっかり定番になってしまった


見ていると器具だけじゃなくて
消耗品の使い方も激しくて
床にこぼした水を拭くのに
未使用の高級紙タオルを何枚も使ったり
試薬もやたらと新調したがるし
精製水も月曜日に汲んだばかりなのに
しかもその技師さんと一緒に汲みに行って
私が慌てて水を止めたくらい
文字通りの満タンギリギリまで入っていたのに
もうなくなってまた汲みに行っていた
普通2週間に1回くらいで済んでいるのに


働いている時間より
暇そうにしている時間の方が長いし
代償の方が多い気がするぞ


試薬を探すたびに戸棚が開けっ放しになっていて
見つけるたびに私がしめていたのですが
まるでイタチごっこ
確かにそんなに危ないものは入っていないけれど
地震大国だぞここは
まぁここは液体が上の棚で
粉系が下の棚に入っているから
もともと安全より利便性重視なんでしょうけれど
しかしせめて
試薬棚の戸はしめておくのは当たり前だと思うのは
あくまで私個人の常識でしかないのだろうか



しかしこのあと
そんなこと百歩譲れるくらいのことが起こった
水をたっぷり出しっぱなしにしてお昼に行ってしまい
水をたっぷり出しっぱなしにして帰って行った


えー


今日はまだ染色が始まっていないときから
1日中水をちょろちょろ出していたな
何がしたかったんだろう


帰りにのぞいたら
洗いものもバットから溢れんばかりに
山盛りになっていた
明日は大変だ



午後は静かに染色しているなぁと思いつつ
話を聞いているとき
心ここにあらず
またはまた始まった
またはまだ終わんないのかな
って思っているのが態度に出ていたかしらと
あんまり静かなもんだからちょっと不安になったり


しかしそんな不安は無用だった
染色2時間待ちに入ったら早速喋りだし
昨日イ●ーヨーカドーで買った雑誌も早速持ち出して
無線について熱く語り出した
使用の申請みたいなのが
パソコンでできるようになったんですって
そら良かった


そしていつも各話につき1回は言う


☆≠@なんだけどねっていっても分かんないよね


って分かってるなら話すんな(`◇´)

分かっていないのかな
分からない以前に興味が皆無であることに


それから超音波の話を始めて
ちょっとはためになる話が聞けるかと思ったら
やっぱり趣味の方向に突き進む
ヘルツがどうとか波長がどうとか
勘弁してくれよ
それは物理の授業に近いものがあって
だんだんと眠くなってくるわけですよ
最近寝不足気味でもともと眠いのに
つらかった


さらに前に言ったやつ調べた?って聞かれて
だってそんな重箱の隅の隅みたいなの
テストにも国試にも出てこないし
時間があったら調べようくらいにしか思っていなかったから
病院ではスケッチと話し相手で忙しいし
帰ればレポート書いてるし
暇はなかったから調べてないという次第です
そしたらまた
スケッチしているのを無視して説明してくれた
知っていて損することじゃないから
時間があったら写しておこうたぶん・・・
確実にない
時間はつくらなきゃできないから
そんな毎日


ボス技師さんは痛烈な厭味を飛ばしてくるし
新入りさんは空気読まずに自分の話ばっかりだし
本当に居心地の悪い部屋だ



午後には解剖があって
技師さんに何回入った?って聞かれて
3回ですって答えたら
もういいよね?
いいわけないだろとは言えず
見に行けなかった
まだ一緒にやっていた子がいたときに解剖があったときは
ひとりしか連れていけないと言われて
ふたりとも見学回数が3回だったので
先に病理の実習が終わってしまうその子が行ったわけで
でもそう思っていたのは私だけかもしれない
確かあのとき
ふたりとも3回だって言ったら
技師さん自らじゃあこっちでって
彼女を指名したんじゃなかったっけ
でも私は3回で十分と
彼女だったら連れていってもいいけれど
私ではいやだと
好かれてないんだろうなやっぱり
それはずっと感じていたんだけれど
頼まれたことを忘れていたときの態度とか
全然違うし
ちゃんとやっておいても
粗を見つけてイヤミサイル攻撃
やりにくいわ
まぁ私もすきじゃないからお互い様か
それにこれもあと何日かでおしまい
病理の実習は早く終わってほしいけれど
病院実習は終わってほしくないジレンマ



そうなのです帰ろうとしたら
久しぶりの出血大サービス的豪雨で
バス停まで歩くこともしたくないときは
病院の中を通り抜けて
正面玄関前のバス停に行くのですが
その道すがらジャイアン先生に遭遇
もう会うことはないと諦めていたジャイアン
想い出に変わりかけていたジャイアン
弱った心にはとてもかっこよく見えたです
本気で惚れるかと思うほど
素敵ジャイアン
曲がり角で突然だったから
驚いてしまって挨拶ができなかった
こんな最後って
でも最後に最高に素敵な姿を見ることができて良かったです
まだ1週間あるけれど
遭遇率の低さはぴかいちだから
帰りのバスは病院関係者で溢れていました
当たり前だけれど
電車も一緒の先生もいて
今この車両に医者が乗っているんだ
しかも部長が!
と思ったらなんだか興奮意味不明
そういえば病理の会とかいうファイルを見ていたら
前の病理医の先生の名前を見つけました
懐かしい
私にとっての病理の先生はあなただけですなんて
みんな元気にしてるかな