想い出よさようなら


ついにこの日がやってまいりました


4月にはとてつもなく遠く思えた日


果てしなく遠く思えた日


だけどいつかは必ずやってくる日が
ついに訪れたわけです



明日のお昼にと昨日買った
塩バターメロンパンは忘れてくるし
バスにははとぽっぽが乗ってくるし
これが本当のハトバス
なんつって
笑えなーい
こっちに来たら明日はないと思え
窓を開けても出ていく気配なし
ハトはバカだからそんなんじゃ無理だって
バカのひとつ覚えみたいに繰り返すおじさん
運転手さんが気合いのわしづかみ
そのあと手を洗うこともできないのに
こんなことで遅らせることはできないって
かっこいい
責任感というか職業魂をみた気分でした
もしも病院にやつが舞い込んできたら
私もわしづかみにしなきゃいけないんですかね


面白かったのは
若干無視されていたおじさんが
病理の技師さんにそっくりで
よく喋るんだけれど
独り言なんだか誰かに話しかけてるんだかよく分からなくて
誰も返事を返さないところまでそっくりってゆう
そして
もうひとりの若い女性のお客さんは
先輩技師さんにちょっと似ていた
声と喋り方はそっくりだった
顔はどこかハンドくんとも似ていました
先輩とハンドくんを混ぜた感じ
懐かしいなハンドくんとか
元気にしているだろうか





そんな幕開け


今日は初日のように
いろいろなところに挨拶回りに行くのかと思って
感想とか考えたりもしたのだけれど
技師さん達の朝礼で
ありがとうございました
国試の勉強頑張ります
って言うだけで良くてちょっと拍子抜け





そして


いつも通り彼女は病理の部屋にやって来て
私の席に陣取って
2日連続で自分の実習計画を丸潰しにされて
若干憎ささえ生まれてきたような
しかも人の場所を奪っておいて
ずっとそこにいるわけではなく
私が何かしていれば
何してるの?
見てていい?って
すきなだけやってていいからあの席返してくれませんか


前々から生化学や血液の検査室で
一緒に掃除していたときから思っていたのだが
邪魔にならないようにっていうことが
まったく頭にない人なんだなと
思いっきり通り道にゴミを集めるのが
すごく気になっていたんだ
私が隅っこの方に集めておいても
別の場所を掃いて戻ってくると
必ず道のど真ん中に移動している
私は集める場所だけではなく
掃くときもできるだけ隅へ隅へ寄せながら
通る人の邪魔にならないように気を使ってただけに
彼女のやり方が気に入らなかったもんです


これは前ふり


そして今
使わないのなら荷物は隅に置いておけばいいのに
机のど真ん中に置いて
自分も使っていないくせに
貴重な席を何人たりとも使えないようにし
イスも
すぐ後ろは壁があるのですが
そばに高いところのものを取るための階段みたいなのが
壁側に寄せておいてあって
イスをはさんで反対側のそばには
ワゴンみたいなのがあるので
イスも
それが本来のあるべき姿だとしても
机に押し込むようにしておくよりは
どうせサイズが合っていなくて入らないのだから
壁側に寄せてしまった方が
通り道ができて邪魔にならないと思うんですよね


言葉だとよく分からない
図にしてみよう
□は左から、階段、イス、ワゴンと思ってくだされ

こんな感じで
これだとけっこう余裕がある感じがしますが
実際はもっときっちきちしています
だからこそ
一列にしてしまった方が
狭いなりに通り道ができるし
いいんでないかと
私は思うのですけれどね
あるいは誰も通したくなくて
あえて道を塞いでいるのかもしれないけれど



でも今日は感謝しなければならない日でもあるのです
技師さんに伝票の入力を頼まれたのをいいことに
さりげなく隣のパソコンのフォルダを見てみる
プライバシーの侵害は得意なんです
去年の先輩の撮影会に
技師さん達の歓送迎会の写真を発見
みんな楽しそう


そして去年の忘年会
さらにみんな楽しそう
あの先生の意外な姿も垣間見え
どこか見覚えのあるのび太顔って
ジャイアン先生(゜∀゜)
ジャイアンメモリアル
写真じゃジャイアン感は分からないけれど
彼女のUSBにじゃんじゃん保存ですよ


思いがけない大発見
咎められるの覚悟で見てよかった
これでしばらくはエネルギー補給ができるわ
さりげなく
そのUSB今日貸せ的なことを言ってみたのですが
そんな気はまったくなかったようなので
月曜日まで待つしかありません
私が彼女にたくさんしたいじわるのように
彼女が私にいじわるをしなければ
すべての写真が手に入るたぶん
動画も
素晴らしすぎる
すべてが手に入ったら
彼女には感謝と謝罪を伝えようと
条件つきなところが私歪んでる


だって本当にいやになっていたんだもの
自分だけが苦労しているみたいな言い方とか
ドアの開閉も自分で開けて自分で閉めようとするから
最初の人が開けて
最後の人が閉めればいいと思っている私は
いつもペースを乱されて
社長連れて歩いているわけじゃないんだからさぁって
あと歩いているときに
やたら振り返ってくるのもいやだった
いくらなんでも実習中に投げ出して消えたりしないし


今日もカチンときたし
今日の彼女は場所だけ取っておいて
でもずっと染色をしていたのですが
私がパソコンの写真を見始めたら


私も真面目に染色とかしてないで
いろいろ遊べばよかったぁって





はぁ?





誰のせいでやりたいことが何もできずに
残りの貴重な時間を
ただなんとなくふわふわ過ごす羽目になってると思ってるんだよ

怒ったからそれに対してはひと言も返さなかった
向こうも独り言みたいに言ったから
気にしてはいなかったみたいだけれど


そんな感じで
気に入らないことがあるときはときは
あからさまに態度に出していたから
扱いにくかっただろうな
それは謝っておきたい





最後の最後で技師さんに頼まれて
生検材料の撮影を手伝いました
私がカセットの入った袋を切り開き
技師さんとふたりで番号を確認し
技師さんが写真を撮り
私は伝票にコメントを書き込む
複写って不思議ね
ただの紙なのに
どこまでも写ってゆく
こういうのは技師さんが病理医の先生に怒られるから
ピリピリしていて怖い
しかし貴重な経験ができた気がする





午後は空いた時間を使って
生理検査室に撮影会に行きまして
電話がかかってきまして
どうやらジャイアン先生かららしい
そして技師さんが廊下に向かって喋り出した
もしかしてジャイアンなのか
そうなのか
でもさっきの電話の流れの話っぽいから
ジャイアン先生がわざわざやって来て
遠くで喋ってるんだな
こっち来ればいいのに
つか私廊下行きたい
最後は声だけの出演か
耳に焼きつけておこう
ちょっと高めの声
あなたのおかげで
この5ヶ月間は
期待とがっかりとハッピーに満ち溢れた
素敵な時間となりました





その後また病理の部屋に戻って
彼女は血液検査室の手伝いをしに行ったのに
やっぱり荷物は広げたままで
私は向かい側に場所をつくって
最後のノート書き
終わらせるだけの時間は充分あったのに
それもこれも・・・
思い出し怒りが込み上げてくる



それから夕方
また生理検査室に行って最後の挨拶をして
アイスとお茶とお菓子をもらって軽い送別会
いつのまにか6時近くなっていて
他の部屋の技師さんにも挨拶をして
ロッカーを片づけて
ラーメンに誘われましたが
完徹で疲れていることにして断りました
本当はそんなことはなくて
1晩くらいなら
下手に寝るより起きていた方が元気というか
頭がクリアでいられるタイプなんだな
とか思ったのですが
なにせ
実習が終わって大喜びの彼女と
実習が終わって悲しくて仕方ない私との間の
この温度差
昼間の怒りもあるし
一緒にご飯を食べたくなんてなかった


本当に病院という場所が大すきで
なのにもう来る理由がなくなってしまった
学校という場所には
私にはなんの魅力もないから
大変でも終わってほしくなかった



彼女を先に帰らせて
ひとりゆっくり別れのとき
大量の荷物を何度か詰め直して
ふたつのかばんにまとめ
ゴミを捨てに行きながら
もうこの廊下を歩くこともないんだなって
窓の外を眺めてみたり
真っ暗であんまり見えなかったけれど
それから
名残惜しく未練がましく往生際悪く病院をあとにしました


さようなら




荷物が多いし重かったので
バスで帰ろうと思ったのですが
見覚えのある姿が見えて回れ右
だいぶ前に出て行ったからいるはずないし
見間違いだとは思うのですが
念のため


かばんを担ぎ直して歩き出す
電車に乗って本屋さんへご褒美を買いに
1軒目で本2冊と雑誌を1冊買ったのですが
2軒目でもっといい雑誌を見つけて若干ショッキング
落ち込みながらの3軒目
さすがに肩も足も心も疲れてきて
ここは早々と引き上げ


そして久々のがちゃがちゃ
輸血(点滴?)シリーズだったのですが
出てきたのはガンガンZ
なんだか元気が出そうだけれど
胡散臭い名前だ
せめて血液が出てくるまではチャレンジしたい
そんな1日


また病院行きたい





実は行くけど